「せっかく業者に依頼したのに『この機種は対応できません』と断られてしまった…」
エアコンクリーニングを頼んだはずが、予期せぬ返答に戸惑い、どうすれば良いのか途方に暮れていませんか?
ご安心ください。この記事は、そんなあなたのための決定版ガイドです。
「なぜ断られたのか」という根本原因から、「では、どうすればいいのか」という具体的な解決策、さらには「次に買うならどのエアコンか」ということまで、あなたの全ての疑問に答えます。

1. 【3つの原因】エアコンクリーニングができない機種と断られた根本理由


うちのエアコン、買ってからまだ5年くらいなのに、先日業者さんに「この機種はちょっと…」って断られちゃったんです。何がいけなかったんでしょうか?



わかる!私も最初の業者さんに断られた経験あるよ。最新の機種だから大丈夫だと思ってたのに、逆に「高機能すぎて分解が難しい」って言われて。



お二人のようなケースは非常に多いんですよ。実は、エアコンクリーニングができないと言われる背景には、業者側のリスクや技術的な問題が複雑に絡んでいます。これから、その3つの原因を一つずつ詳しく解説していきますね。
1-1 原因①:構造が複雑で分解できない機種の問題
その理由は、各メーカーが快適性を追求した結果、従来のエアコンにはない特殊な部品や電子機器を多数搭載しているからです。これらは、標準的なクリーニングの手順では対応できず、無理に分解しようとすれば、深刻な故障を引き起こすリスクが伴います。
例えば、富士通の「ノクリアXシリーズ」や三菱の「霧ヶ峰FZシリーズ」がその代表例です。
- ノクリアXは、本体の両サイドに「デュアルブラスター」という送風ファンを備えています
- また、三菱のFZシリーズは、天井部分に2つの大きなプロペラファンを搭載しています。
これらの機種は、分解する部品の点数が一般的なエアコンの倍近くにものぼり、配線も非常に複雑です。そのため、専門知識を持つ一部の業者でなければ、安全な作業が保証できないのです。



なるほど…良かれと思って買った高機能なモデルが、逆にクリーニングしにくい原因になっていたなんて、ショックです。



そうなんです。特に東芝製のエアコンも注意が必要です。
多くのモデルで、冷房時に出る水を受ける「ドレンパン」という部品が、本体の骨格と一体になっています。
これでは壁に掛けたままドレンパンを取り外せず、カビが最も発生しやすい送風ファンの奥まで、徹底的に洗浄するのが困難になります。



うちがお掃除機能付きエアコンを選んだのも、「手入れが楽そう」って思ったからなのに、結局プロに頼むときは料金が高くなるって聞いて、ちょっとがっかりしたな。



おっしゃる通りです。
「お掃除機能」は、あくまで「フィルターのホコリ」を自動で掃除する機能です。
内部のファンや熱交換器のカビや汚れまでは掃除してくれません。
そして、そのお掃除ユニット自体が複雑な構造をしているため、分解と組立に追加の作業時間と料金が必要になる、というわけです。
したがって、エアコンクリーニングを断られた場合、まずご自身のエアコンが、こうした構造的に複雑な高難易度機種に該当しないかを確認することが重要です。
1-2 原因②:「10年の壁」製造年が古い機種の問題
「まだ問題なく動いているのに、なぜ?」と思われるかもしれませんが、これには業者側にとって避けられない、3つの合理的な理由が存在します。
メーカーによる「補修用性能部品」の保有期間が終了しているという問題です。家電メーカーは、製品の製造終了後、修理に必要な部品を約10年間しか保管する義務がありません。つまり、製造から12年経ったエアコンの部品をクリーニング中に破損させてしまった場合、交換するための新品部品は、もう世界のどこにも存在しないのです。
経年劣化によるプラスチック部品の破損リスクです。長年使用されたエアコンのプラスチック部品は、紫外線や熱の影響で油分が抜け、新品の時とは比べ物にならないほど脆くなっています。どんなに熟練した技術者が慎重に作業しても、カバーや部品を取り外そうとした瞬間に「パキッ」と割れてしまう可能性が極めて高いのです。
損害賠償保険が適用されない可能性です。もし業者が古いエアコンを破損させたとしても、保険会社は「業者の過失ではなく、製品の寿命(経年劣化)が原因」と判断することがほとんどです。そうなると、業者はクリーニング料金の何十倍にもなるエアコン本体の交換費用を、全額自己負担で賠償しなければなりません。この大きなリスクを負ってまで、作業を引き受ける業者は少ないのが現実です。



10年がそんなに大きな壁だったなんて…。うちの実家のエアコン、たぶん15年くらい使ってるけど、クリーニングはもう無理なのかな…。



15年となると、かなり厳しいと言わざるを得ません。
この「リスクの三重奏」こそが、たとえ今動いているエアコンであっても、多くの業者が「申し訳ありませんが…」と断る根本的な理由なのです。
ご自宅のエアコンの製造年は、本体の側面や下面に貼られたシールで確認できますので、一度チェックしてみてください。
このように、製造から10年という期間は、エアコンクリーニングを依頼できるかどうかの、一つの大きなボーダーラインとなります。
1-3 原因③:設置環境が原因で作業ができない場合の問題
これは、安全で確実な作業を行うためのスペースを確保できないことが主な理由です。どんなにシンプルな構造のエアコンでも、作業環境が悪ければ、プロの技術者は手出しできません。
具体的には、まずエアコン本体と壁や天井との隙間が重要になります。一般的に、エアコンの左右や上部には、最低でも5cmの隙間が必要です。特に、内部に電装部品が集中している本体右側には、10cm以上の十分なスペースがないと、分解・組立作業が困難になり、断られる可能性が非常に高くなります。



壁ギリギリだとダメなんですね!デザインを重視して、ピッタリ設置しちゃってる家も多そうなのに。



うちもリビングのエアコン、カーテンレールが近くてヒヤヒヤしたよ。業者さんによっては、メジャーでしっかり測ってた。



黒木:そうなんです。右側のスペースは、いわばエアコンの心臓部をメンテナンスするための「執刀スペース」のようなものですから、非常に重要です。
また、エアコンの真下に作業スペースを確保できるかも大きなポイントです。脚立を立て、高圧洗浄機などの機材を置くためには、目安として畳2畳分ほどの何もない空間が求められます。下に移動できない大きなベッドや本棚がある場合も、作業をお断りせざるを得ません。
さらに、設置されている場所の高さも関係します。床からエアコン本体までの高さが2.8mを超えるような高所や、吹き抜けに設置されている場合、安全上の問題から対応できない業者がほとんどです。加えて、壁の素材が漆喰(しっくい)や珪藻土(けいそうど)、砂壁といった吸水性のあるものだと、万が一洗浄水が漏れた際にシミが残るリスクがあるため、作業を断られたり、免責同意書へのサインを求められたりします。
したがって、クリーニングを依頼する前には、ご自宅のエアコンの設置環境が、作業可能な条件を満たしているかを事前に確認しておく必要があります。
2. 【機種一覧】エアコンクリーニングができないと言われやすい代表的な機種


ここでは、具体的にどのような機種がクリーニングを断られやすいのか、その代表的なモデルをご紹介します。ご自宅のエアコンがリストにないか、ぜひチェックしてみてください。「できない」と言われる機種は、決して品質が低いわけではなく、むしろメーカーが技術の粋を集めた高機能モデルであることが多いのが特徴です。
2-1 【最難関】多くの業者が断るお掃除機能付きエアコンの機種
- 富士通ゼネラル:nocria(ノクリア) Xシリーズ
- 理由:本体両サイドの送風ファン「デュアルブラスター」と、分解の初期段階でアクセスが必要な正面の電装基盤が、分解・組立の難易度を格段に引き上げています。
- 三菱電機:霧ヶ峰 FZシリーズ
- 理由:天井部分の2つのプロペラファンと、独特なW字形状の熱交換器。内部の部品点数が一般的なエアコンの約2倍にもなり、分解に膨大な時間を要します。
- パナソニック:Eolia(エオリア) Xシリーズ
- 理由:お掃除ユニットを取り付ける際の、複雑な配線の取り回しが非常にシビアです。手順を誤ると致命的なトラブルに直結するため、高度な技術が求められます。
- 日立:白くまくん Xシリーズ
- 理由:風向を細かく制御するための、6枚もの独立した風向パネルなど、可動部品の多さが分解・組立時の複雑さを増す一因となっています。
- シャープ:Airest(エアレスト)シリーズ
- 理由:送風の要であるシロッコファンが、本体を壁に取り付けた状態では構造上、洗浄できない特殊な設計です。一般的なクリーニング手法が全く通用しません。
2-2 構造的にエアコンクリーニングができない特殊なタイプの機種
- 壁埋込(ビルトイン)エアコン
- 理由:本体が壁内に埋め込まれているため、洗浄時に発生する汚水を受けるスペースを確保できず、作業が物理的に不可能です。
- 窓用(ウィンドウ)エアコン
- 理由:分解して高圧洗浄するための養生(防水シートでの保護)や、分解そのものが非常に困難なため、対応できる業者はほとんどありません。
- 海外メーカー製のエアコン
- 理由:内部構造が国内メーカーと大きく異なる上、万が一洗浄中に部品が破損した場合、代わりの部品を入手することが絶望的です。非常に高いリスクを伴います。
3. エアコンクリーニングができない場合の具体的な対処法


一つの業者に「対応できない」と断られても、諦めるのはまだ早いです。あなたのエアコンと状況に合わせて、いくつかの選択肢が存在します。ここでは、具体的な4つの対処法をご紹介します。



断られちゃったけど、エアコンの汚れは気になるし…。どうしたらいいんだろう。



大丈夫!私も断られた後、色々調べてちゃんと対応してくれる業者さんを見つけられたよ。やり方はいろいろあるから、一つずつ見ていこう!
3-1 対処法①:「難分解機種」に対応できる専門業者を探す
その理由は、そうした専門業者は、特定の高難易度機種の分解・洗浄に特化しており、豊富な経験と知識を持っているからです。大手フランチャイズでは対応できないような複雑なモデルでも、安全かつ確実にクリーニングを行うノウハウを持っています。
では、どうすれば信頼できる専門業者を見つけられるのでしょうか。ここで、「優良業者を見極めるためのチェックリスト7項目」をご紹介します。
- 実績の可視化:あなたのエアコンと同じ機種を、実際に分解・洗浄している写真や動画をウェブサイトに豊富に掲載しているか。
- 明確な料金体系:難分解機種の追加料金などが、事前に明確に提示されているか。
- 会社の情報開示:会社の所在地、代表者名、固定電話番号などがきちんと明記されているか。
- 損害賠償保険への加入:万が一の故障や破損に備えた保険に加入しているか、またその保証内容が明確か。
- 口コミと評判:Googleマップや比較サイトで、実際の利用者の具体的な声が確認できるか。
- 専門性の高さ:「エアコン専門」を掲げ、他のハウスクリーニングを幅広く手掛けていないか。
- コミュニケーションの質:問い合わせ時の対応が丁寧で、専門的な質問にも的確に答えられるか。



このチェックリストは非常に重要です。特に、実際の作業写真が豊富にあるかどうかは、その業者の経験値を示す何よりの証拠になります。



そうそう!私も何社か比較したけど、やっぱり写真付きで「このノクリアXやりました!」って書いてあるところは安心感が全然違った。ちなみに、ダスキンのような大手でも、機種によっては対応できなかったり、追加料金で対応したりと方針が違うから、最初から専門業者を探す方が「タイムパフォーマンス」は良いかもしれないね。
この方法なら、諦めかけていたエアコンも、徹底的に綺麗にできる可能性があります。
3-2 対処法②:「保証なし」を条件に依頼する(古い機種の場合)
これは、前述の通り、古いエアコンのクリーニングには業者側に大きなリスクが伴うためです。そこで、「万が一の際は自己責任で対応する」という内容の「免責同意書」にサインすることを条件に、特例として作業を行うというわけです。
例えば、あと2~3年で買い替えを検討しているけれど、それまでの間だけでも綺麗にして快適に使いたい、という場合に有効な選択肢です。ただし、もしクリーニング作業中やその直後にエアコンが動かなくなっても、修理や買い替えの費用はすべて自己負担となります。このリスクを十分に理解した上で、慎重に判断する必要があります。
3-3 対処法③:買い替えを検討する
クリーニングは万能ではありません。以下のような「寿命のサイン」が見られる場合は、買い替えを真剣に検討すべきタイミングと言えます。
- 製造から10~15年以上経過している
- 運転中に「ガタガタ」「カラカラ」といった異音がする
- 室内機から水が漏れてくる
- 設定温度にしても、冷えない・暖まらないなど効きが著しく悪い
- スイッチを入れるとブレーカーが落ちる
これらの症状は、内部の部品が深刻なダメージを負っている可能性を示唆しています。この状態で無理にクリーニングをしても、根本的な解決にはならず、すぐまた別の不具合が発生するかもしれません。最新の省エネモデルに買い替えれば、電気代が安くなるというメリットもあります。
3-4 【絶対NG】市販の洗浄スプレーが危険な理由
手軽で安価に見えるため魅力的に感じますが、これは専門家の視点から見れば「時限爆弾」を仕掛けるようなものです。ダイキン、パナソニック、日立といった主要メーカーはすべて、公式にその使用を明確に禁止・非推奨としています。
その理由は、深刻なリスクにあります。スプレーの液体が内部の電装部品にかかれば、ショートして火災や感電につながる恐れがあります。また、スプレーの圧力では内部の汚れを完全に洗い流すことはできず、中途半端に残った汚れと洗浄剤が、以前よりも強力なカビを繁殖させる原因になります。さらに、洗い流された汚れが排水経路を詰まらせ、室内への水漏れを引き起こす可能性も高いです。



洗浄スプレーは、カビの温床である送風ファンや熱交換器の裏側には、そもそも届きません。百害あって一利なし、と言える危険な行為なのです。
4. 【将来のために】プロが選ぶ!本当に掃除しやすくメンテナンスが楽なエアコン


一度クリーニングで苦労したからこそ、次にエアコンを選ぶときは失敗したくないですよね。ここでは、クリーニングのプロが推奨する「メンテナンス性」に優れたエアコンの選び方をご紹介します。もう二度と業者選びで悩まないために、購入時に見るべきポイントをしっかり押さえましょう。
4-1 なぜプロはダイキンと三菱電機を推奨するのか?
その理由は、それぞれのメーカーが持つ設計思想にあります。
- ダイキンは「空調専門メーカー」としての信頼性が高く、構造がシンプルで各部品が頑丈に作られている点が評価されています。長期間にわたって安定して使用できる「質実剛健」なエアコンと言えます。
- 一方、三菱電機は「ユーザー目線でメンテナンスしやすく作られている」点が最大の魅力です。後述するドレンパンやファンなどの部品が、プロだけでなく一般のユーザーでもある程度分解・清掃しやすいように設計されていることが高く評価されています。
4-2 掃除しやすいエアコンを見極める3つのポイント
快適な機能も大切ですが、長く清潔に使うためには、以下の3つの「メンテナンス性」に注目してください。
- 最重要ポイント:「ドレンパン」は取り外せるか?
- ドレンパンは、カビや汚れが最も溜まりやすい「受け皿」です。これが取り外せるかどうかで、掃除のしやすさが天と地ほど変わります。三菱電機やパナソニックの多くのモデルは取り外し可能な「分離型」ですが、ダイキンや東芝、富士通ゼネラルの多くは本体と一体になっています。販売店のスタッフに「この機種のドレンパンは外せますか?」と具体的に質問してみましょう。
- 内部構造は「シンプルイズベスト」
- サイドファンや多機能なセンサーなど、特殊な機構を持つモデルは、高い快適性と引き換えにメンテナンスの難易度とコストが上がります。長期的な視点で見れば、信頼できるメーカーの標準的なモデルを選ぶことが、最も賢明な選択となることが多いです。
- カビを抑制する「内部クリーン機能」の違い
- ダイキンの「ストリーマ」や日立の「凍結洗浄」のように、プロのクリーニングまでの間に内部のカビの繁殖を抑制する機能にも注目しましょう。ただし、これらはあくまでカビ予防の補助的な機能であり、プロによる定期的な分解洗浄に取って代わるものではないことを理解しておく必要があります。
4-3 【2025年版】プロが自宅で使いたいおすすめのエアコン機種
以上のポイントを踏まえ、プロが選ぶ、メンテナンスしやすく長く付き合えるおすすめのエアコン機種をご紹介します。
- 基本性能と耐久性重視なら:ダイキン Eシリーズ / Fシリーズ
- シンプルで堅牢な構造が魅力です。故障が少なく、基本的なメンテナンスが容易なため、とにかく壊れにくく、長く安心して使える基本性能を重視する人におすすめです。
- 自分で手入れもしたいなら:三菱電機 GEシリーズ / GVシリーズ
- ドレンパンやルーバーが取り外し可能で、ユーザー自身での清掃も視野に入れられる設計が秀逸です。自分でできる範囲の掃除もこまめに行い、常に清潔な状態を保ちたい人に最適なモデルです。
5. 「エアコンクリーニングができない機種」に関するQ&A


最後に、エアコンクリーニングができない機種に関して、よく寄せられる質問にお答えします。
6. まとめ:エアコンクリーニングができない機種でも、解決策は必ず見つかる


今回は、エアコンクリーニングができない機種について、その原因から対処法、将来の選び方までを詳しく解説しました。
その理由は、断られる背景には「①構造の複雑さ」「②10年以上の経年劣化」「③設置環境」という明確な3つの原因があり、それを正しく理解すれば、適切な次の一手が見えてくるからです。
例えば、高難易度機種なら専門業者を探す、古い機種ならリスクを理解した上で保証なしで依頼する、あるいは思い切って買い替えるなど、あなたの状況に合わせた解決策が必ず存在します。
この記事が、あなたの長年の悩みや不安を解消し、清潔なエアコンで家族と快適に過ごすための一助となれば幸いです。
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